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四谷怪談(よつやかいだん)

四谷怪談(よつやかいだん)

著者:田中貢太郎

再生時間:33分38秒

提供:パンローリング

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内容紹介

有名な「お岩さん」の物語の小説化

「四谷怪談」といえば鶴屋南北による歌舞伎『東海道四谷怪談』が最も知られているが、この田中貢太郎版は、歌舞伎のヒントとなったとみられる江戸時代に本当にあったとされた話に沿った内容となっている。

歌舞伎版における、伊右衛門に毒を盛られて顔が崩壊していくなどのショッキングな恐ろしさではなく、 小説版における本当の恐怖は、人間の心変わりが招く、裏切りの念なのかもしれない。 本当に怖いのは。幽霊ではなく。人間なのかもしれない。
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元禄年間のことであった。
四谷左門殿町に御先手組の同心を勤めている田宮又左衛門と云う者が住んでいた。その又左衛門はふだん眼が悪くて勤めに不自由をするところから娘のお岩に婿養子をして隠居したいと思っていると、そのお岩は疱瘡に罹って、顔は皮が剥けて渋紙を張ったようになり、右の眼に星が出来、髪も縮れて醜い女となった。

それはお岩が二十一の春のことであった。又左衛門夫婦は酷くそれを気にしていたが、そのうちに又左衛門は病気になって歿くなった。
そこで秋山長右衛門、近藤六郎兵衛など云う又左衛門の朋輩が相談して、お岩に婿養子をして又左衛門の跡目を相続させようとしたが、なにしろお岩が右の姿であるから養子になろうと云う者がない。皆が困っていると、又市は間もなく良い養子を見つけたと云って来た。

それは伊右衛門と云う摂州の浪人であった。
伊右衛門は又市の口に乗せられて、それでは先ず邸も見、母親になる人にも逢ってみようと云って、又市についてお岩の家へ来た。

伊右衛門は美男でその時が三十一であった。お岩の家ではお岩の母親が出て挨拶したがお岩は顔を見せなかった。
伊右衛門は不思議に思ってそっと又市に、
「どうしたのでしょう」
と云うと、又市は、
「あいにく病気だと云うのですよ、でも大丈夫ですよ、すこし容貌はよくないが、縫物が上手で、手も旨いし、人柄は至極柔和だし」
と云った。伊右衛門は女房は子孫のために娶るもので、妾として遊ぶものでないから、それほど吟味をするにも及ばないと思った。

この痩浪人は一刻も早く三十俵二人扶持の地位になりたかったのであった・・・。

内容項目

あらすじ
(1) 四谷左門殿町に御先手組の同心を勤めている田宮又左衛門には息子がいなかった。又左衛門はふだん眼が悪くて勤めに不自由をするところから娘のお岩に婿養子をして隠居したいと思っていたが、娘のお岩は縫物が上手で、人柄は至極柔和だが、疱瘡を罹らい、顔は酷く崩れ、二目と見られない様相をしていた。しかしそこに紹介で現れた伊右衛門と云う摂州の浪人は一刻も早く三十俵二人扶持の地位になりたかったため、結婚を決意するが・・・。

(2) 御先手組の与力に伊藤喜兵衛と云う者があった。悪竦な男だが周囲はそれをとめられなかった。ある日お岩はこの喜兵衛に呼び出され、夫である伊右衛門の博打と女狂いを、女房であるお岩にやめさせるよう言付けられる。早速に進言したお岩は逆上した伊右衛門に殴る蹴るの暴行を加えられてしまう。再び喜兵衛に相談をするお岩が、提案された解決案は思いも寄らぬものであった・・・。

(3) お岩と離縁し家から追い出し、田宮家を手に入れた伊右衛門は、早速、妾のお花と婚礼を執り行う。お岩はそんなことは知る由もなく、平穏に暮らし始めた。しかし、そんなある日、両家に煙草を売りに来ている茂助から、事の顛末をそれとはなしに聞いてしまう。逆上したお岩は家を飛び出してしまう・・・。

(4) お岩が奉公先を狂い出てからしばらく経ち。子宝にも恵まれた伊右衛門が平穏に暮らしていた翌年の七月十八日。お岩の復讐、怨念がもたらす全ての怪奇・不幸の始まりはふと。その庭先で起こった。企みに関わった全ての人間に降り注ぎ、畳み掛けるような怪奇が始まった。

著者、朗読者情報

著者紹介

田中貢太郎(たなか こうたろう) 1880年(明治13年)3月2日-1941年(昭和16年)2月1日) 伝記物、紀行文、随想集、情話物、怪談・奇談など多岐に渡る著作を遺しており、 とりわけ怪談物は蒐集と再著作に努め、総数は約五百編に及び、今日まで度々再刊されている。


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朗読者  落語家・講談師 
 
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