LisBo(リスボ)なら、作家・学者・実業家の講演の他、法話、落語、講談、朗読などのオーディオブックが定額で聴き放題。登録月は末日まで無料です。

女坑主

女坑主

著者:夢野久作

朗読:楠木華子

再生時間:46分57秒

無料再生時間:

提供:パンローリング

再生速度
  • x0.5
  • x0.75
  • x1
  • x1.25
  • x1.5
  • x2
  • x3
  • x4

会員登録をすれば、全作品が聴き放題。入会月は無料です。

すでに会員登録済みの方は、こちらからログインして下さい。

内容紹介

「ホホホ。つまりエチオピアへお出でになりたいからダイナマイトをくれって仰言おっしゃるん ですね。お易やすい御用ですわ。ホホホ」

新張炭坑の女坑主、新張眉香子は青年の申し出に軽く朗らかに笑った。初期には銀幕スター。そして、筑豊の炭坑王と呼ばれた新張琢磨の第二号に出世。琢磨が休止すると炭坑王を引き継ぐ形となった。
目の前の青年の無茶な申し出さえも即座に引きつけるしたたか者だ。四十には見えない派手な化粧や身なり、そして、黒い大きな瞳に見つめられた青年は、その魅力に恍惚となってしまった。

青年は、みすぼらしい茶色の背広に、不調和な赤ネクタイ。しかし、新劇の二枚目のように目鼻立ちのいい青年だった。その上、びっくりするくらい純真で子供らしい格好に見えた。

青年はダイナマイトを手に入れて仲間を連れてエチオピアへ向かうと言う。日本のためにイギリスの軍艦を爆破し、木っ端微塵になってしまおうという考えだ。

そんな、青年の雄弁を聞いていた眉香子は非常に感動した。その意気込みをかって、すぐにダイナマイトの手配をした眉香子。
青年が出発するまでに時間があるとみた眉香子は青年を誘惑する。しばらくすると、部屋の隅から優雅なオルゴールの音が聞こえてきた。すると、部屋の中に目も眩むほどの光が差し込んできたのだ。
青年は眉香子の中でガタガタと震えだした。恐怖に目は丸くなり窓の外の光を見つめたまま。青年は眉香子を押し除けてスッポリと立ち上がった。
眉香子が声をかけても一言も返事をしない。そのまま青年は、応接間の重たい扉を向こう側からバタンと大きな音を立てて閉めた。すると眉香子の笑い顔が急にスイッチを切り替えたように冷笑に変わった。

事態は思わぬ方向へと進んで行く。

著者情報

夢野久作(ゆめの・きゅうさく)

日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。
1889年(明治22年)1月4日 - 1936年(昭和11年)3月11日。
他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇色と幻想性の色濃い作風で名高い。またホラー的な作品もある。


【ご注意】販売用の音源を利用している場合があるため、一部内容が本サービスと当てはまらない場合がございます。ご了承下さい。

作品を探す

ジャンル  作品提供 
 
タイトル  著者・講演者 
 
朗読者  落語家・講談師 
 
キーワードで探す 

作品提供社一覧

LisBo_twitter LisBo_Instagram

・録音音声の中には、今日においては不適切と思われる表現がありますが、音源または原文の歴史的価値を尊重し、改変を加えずそのままとしました。
・当時の録音状況や、原盤の保管状態の不備などにより、一部にお聴き苦しい箇所があることをご了承下さい。