山本周五郎「地蔵」 朗読:遠藤 再生時間:2時間22分12秒 無料再生時間: 提供:パンローリング |
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内容紹介
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
あらすじ
脛黒は聴衆の前で地蔵尊の奇蹟を訴えていた。彼の顔には敬虔な畏怖と信仰の深い驚きとが、誰にも疑う余地もないほど明確にはっきりと刻みつけられていた。石の地蔵に手首を縄で縛り上げられた手白を指して脛黒は、人殺しの罪を犯し、強盗を繰り返したこの大悪人を、地蔵様が首根っこを掴んで叩き伏せ、縛り上げたと叫ぶ。今は彼が地蔵尊の霊験によって改心し、真面目な人間に生まれ変わったと話すと、聴衆たちはその有難い霊験に驚き、拝み奉っては進んで寄進をしていた。だが、それは脛黒と手白が金を集めるために打った芝居だった。
その場に、市町の長者が若者たちと共に現れた。
「地蔵尊のあらたかな霊験を聞かれ、勧進に付くとの仰せでまいられた、おのれらその道をあけろ」……