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薊

著者:山本周五郎

再生時間:1時間2分51秒

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内容紹介

山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。
その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。

あらすじ

加川銕太郎は困惑していた。それは妻のゆきをの不可解な願いのためである。
「仔細は申し上げられません、どうぞなにもお訊きにならないで下さい」
「このお願いを聞いて下さらなければ、私は自害するほかはありませんし、加川の御家名にも瑕がつくのです」
その願いとは岡野弥三郎との決闘であった。理由のわからない決闘に気が進まないが、過去の岡野とのやり取りには引っ掛かりがあった。
ゆきを結婚して四年目の秋、岡野と口論したことがあった。岡野が銕太郎にいい側女を探そうかと言ったのだ。銕太郎とゆきをとの間には跡取りが授かれずにいた。
「加川夫人には昔から薊の花という仇名があったそうです」
薊の花には実が生らない――それをゆきをに対する愚弄と受け取った銕太郎は激高する……。
だが、「薊のとげで自分の妹は傷付いたし、ほかにも傷ついた娘がかなりいる」という言葉は、鉄太郎の心に影を落としていた。
どうしても妻の真意がわからないまま、このままではゆきをが自害してしまうと危惧した銕太郎は遂に岡野に対して決闘を申し込むのだが……。


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・録音音声の中には、今日においては不適切と思われる表現がありますが、音源または原文の歴史的価値を尊重し、改変を加えずそのままとしました。
・当時の録音状況や、原盤の保管状態の不備などにより、一部にお聴き苦しい箇所があることをご了承下さい。