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笄堀

笄堀

著者:山本周五郎

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内容紹介

山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。
その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。

あらすじ

豊臣秀吉が北条氏征伐の戦をおこした翌年こと、北条氏家臣の夫に代わって忍城の留守を預かる真名女の元に、酒巻靱負之助が血の気を失った表情でやって来た。使者が靱負之助に伝えたのは、忍城にわずかに残る三百の兵と共に、夫達のいる舘林に合流するようにとの口上であった。
真名女は皆を子の刻までに巽矢倉へ集めるよう靱負之助に命じた。
集まった家臣たちの前で、真名女が出した決断は三百の兵と共にこの忍城に残り、三万の敵軍を迎え撃つというものであった。
真名女は領内の民たちにも忍城にたてこもるべき心あらば老幼婦女にかかわらず、城に入るべきことを触書で知らせ、領内の刀、槍のたぐいを買い上げさせた。
すぐに戦備が始められ、城の内外は目覚ましいほどの活気に満ちて来た。城中の外廓に濠を掘ったのは武士の婦人たちだったが、婦人たちは濠のなかに落ちていた笄に気付く。それは真名女のものであり、彼女もおしのびで一緒に濠を掘っていたことを伝えるものだった。
そして、決戦の時は迫りつつあった……


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・当時の録音状況や、原盤の保管状態の不備などにより、一部にお聴き苦しい箇所があることをご了承下さい。