あとのない仮名 再生時間:2時間44分16秒 無料再生時間: 提供:パンローリング |
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内容紹介
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
あらすじ
江戸で五本の指に入るほど腕の良い植木職人だった源次は、ある日、依頼された朴ノ木を半月ほど捜し回って家に帰って来た。その際、妻と些細なやり取りを交わす。自分の望んでいなかった態度を妻に取られたことを発端に、妻子を捨て、さらには植木職人としての将来まで捨ててしまう。「――おらあもう、あとのねえ仮名だ、ゑひもせすで仮名は終わりだからな」源次はそう言い、空虚で堕落した生活を送り続けるのだった……。
自分が自覚している自分の姿と、他人が「あの人はこういう人だ」と認識している姿とのずれに苦悩する源次の姿は、現代を生きる私たちにも通じるものがあるのではないでしょうか。
山本周五郎の最晩年の傑作です。周五郎の作家人生の終着点にあたる作品で、周五郎は何を伝えたかったのか、ぜひお聴きください。