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知っておきたい 日本の漢詩 第六回 和漢交響――与謝蕪村

知っておきたい 日本の漢詩 第六回 和漢交響――与謝蕪村

著者:宇野直人

再生時間:53分58秒

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内容紹介

漢字一つ一つが持つ個性的な形と意味、それらの組み合わせからさまざまにひろがってゆく境地が幻想的でもあり、夢のようでもある「ファンタスティック」な漢詩。

時代背景や作者の境遇を交えた色彩豊かな漢詩の魅力に溢れる講義です。


このシリーズは日本の漢詩について、さまざまの立場で歴史の舞台に登場した人々にスポットをあて、その作品と人生を解説する、という方式で進めてまいります。

日本人の伝統詩歌としては、漢詩・短歌・俳句があげられるでしょう。この三形式のなかでは、親しまれた期間の長さにおいても、創作の歴史の長さにおいても、漢詩が抜きんでています。何しろ日本人は既に飛鳥時代、つまり七世紀後半ごろから、漢詩を「読む」だけではなく、「自分で作る」という段階に入っていました。以来、今日まで千三百年以上にわたり、漢詩は日本人の心を表す形式として親しまれているのです。

漢詩に表れた日本人の心、その特質は何かと言えば、それは「公と正義の感覚」ということになります。花鳥風月や、男女の心の機微は、漢詩では最も重要な関心事にはなりません。そうではなく、社会がどうあるべきか、それを目指す中で個人はどうふるまうべきかを模索し、その考察の結果やそれに伴うさまざまの感慨を表現する、それが漢詩の本道です。

このシリーズによって、そのような漢詩の魅力と奥深さを少しでもお伝えすることができれば幸いです。

第六回 和漢交響――与謝蕪村
与謝蕪村(1716~83)は、江戸中・後期の俳人・画家。天明期(1781~89)の俳諧中興の 中心であり、画家としては池大雅(いけのたいが)とともに日本南画の様式を確立、また俳諧の境地を絵に描き、「俳画」の先駆けとなりました。
蕪村は漢詩の実作にも堪能で、俳諧のまえがきとして漢詩体の詩句をしるしたり、絵画に添える俳諧を求められると、代わりに漢詩を書きつけたり、ということもよくありました。とくに興味深いのは、連作詩において漢詩と漢文訓読体の詩(漢字かな交じり)とを並べたり、一首の中でそれらを併存させたりする手法が見られることでしょう。これは当時、漢詩文および訓読の文体が日本語の中にすっかり浸透していたことを示しており、和文脈と漢文脈との連結による新しい世界は、まことに私たちの心を引きつけてやみません。

収録作品

澱河の歌三首 其の一

其の二

其の三

春風馬堤の曲

シリーズ一覧

知っておきたい 日本の漢詩 第一回 儒臣の本懐――菅原道真
知っておきたい 日本の漢詩 第二回 五山の詩魂――富士山を詠む
知っておきたい 日本の漢詩 第三回 風狂の彼方に――一休宗純
知っておきたい 日本の漢詩 第四回 博学無比の人――林羅山
知っておきたい 日本の漢詩 第五回 儒教再審――荻生徂徠
知っておきたい 日本の漢詩 第六回 和漢交響――与謝蕪村
知っておきたい 日本の漢詩 第七回 やがて かなしき――狂詩の世界
知っておきたい 日本の漢詩 第八回 涙の手まり唄――良寛
知っておきたい 日本の漢詩 第九回 燃ゆる心を――頼山陽
知っておきたい 日本の漢詩 第十回 この道ひとすじに――広瀬淡窓
知っておきたい 日本の漢詩 第十一回 士族の誇り――西郷隆盛
知っておきたい 日本の漢詩 第十二回 安らぎを求めて――夏目漱石


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