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論語の新しい読み方(2)

論語の新しい読み方(2)

講演者:宮崎市定

1969年4月25日 岩波市民講座 岩波ホールにて収録

再生時間:2時間21分23秒

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提供:岩波書店

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内容紹介

 『論語』ほど日本人にとって身近な外国古典はあるまい。しかし古典的テキストの常として、『論語』には読んでもよく分からないところがままある。漢代以降の山のような注釈書を見ても何だかわかったようで分からない……。若いときからこの疑問を抱えてきた講演者は、こうした難読箇所の存在と注釈の難解さは、『論語』が聖典としてその後の時代に特別扱いされてきたことに起因するのではないかと推測する。他の歴史テキストであれば誤記を疑うところまで注釈は無理に解釈しようとしているのではないのか?

 講演者は歴史家として、経学にまま見られる現存テキストと漢以降の注釈を文字どおり金科玉条として尊崇する態度を批判し、注釈を鵜呑みにせず『論語』本文内の文体やレトリックの比較によって誤字や引用部分を帰納的に推論する。古代史的な知見をも補助的に使用しながら古来の難読箇所を解きほぐしていく読みの冴えは快刀乱麻の趣がある。従来の文献学が踏み込まぬ領域にまで踏み込んだ考察が繰り広げられる講演。

講演者紹介

宮崎市定

1901年長野県生まれ。東洋史学者。京都大学文学部史学科卒。もともとの専門である政治経済史・制度史での論著にとどまらず、その議論は中国史の全時代のあらゆる分野にわたり、さらにアジア史全般をも研究した。代表的著書に『科挙』『九品官人法の研究』『中国史』などがある。業績は『宮崎市定全集』全24巻+別巻にまとめられている。文化功労者(1989)。1995年没。

注釈

経典・経書(けいてん・けいしょ)

古代の聖人が述作したとされる書。「経」は永久に変わらないという意。

宋(そう)

中国の王朝名。唐の滅亡後の小国分立を統一。文治主義による官僚政治の樹立、生産力の向上と商業の繁栄により、社会は大きく発展したが、金の侵入により王朝は臨安(杭州)に逃れた(1127)。それ以前を北宋、以後を南宋と呼ぶ。元により滅亡。(960〜1276)

朱子(しゅし)

朱熹。南宋の儒学者。従来の儒学を革新した性理学(宋学)の大成者。その学を朱子学といい、江戸時代の儒学に多大の影響を与えた。著『朱子文集』『朱子語類』『四書集注』『近思録』など。(1130〜1200)

清(しん)

中国の王朝名。満州(中国東北部)の女直族が明滅亡(1644)後に南下、北京を都とした。康熙・雍正・乾隆3帝の頃(17c。後半〜18c。)に全盛を迎える。広大な領土を統治したが19世紀以降は諸外国の侵略で弱体化、辛亥革命により滅亡。(1616〜1912)

考証学(こうしょうがく)

中国清代に栄えた学問・学風。広く資料を収集し、厳密な証拠にもとづく実証的な学風が特徴。宋明代の儒学を批判し漢代の古典研究を尊重した。経学(=経典の学)を中心に、文字学、音韻学、歴史学、地理学、金石学など広範にわたる。

倉石武四郎(くらいし・たけしろう)

中国語学・文学者。京大・東大教授。現代中国語の研究・教育に尽力。著『岩波中国語辞典』など。(1897〜1975)

武内義雄(たけうち・よしお)

中国哲学者。中国の古代思想を研究。東北大教授など歴任。学士院会員。著『老子の研究』『論語之研究』など。(1886〜1966)

吉川幸次郎(よしかわ・こうじろう)

中国文学者。兵庫県生れ。京大教授。中国古典文学研究に優れた独特の業績をあげる。著『元雑劇研究』『詩経国風』『杜甫私記』など。(1904〜1980)

簡野道明(かんの・どうめい/みちあき)

漢学者。東京女高師教授。のち中国に渡り、古書を研究。漢和辞書『字源』を編著。(1865〜1938)

津田左右吉(つだ・そうきち)

歴史学者。早大教授。厳密な古典批判により科学的な日本・東洋の古代史・思想史研究を開拓。著『文学に現はれたる我が国民思想の研究』など。文化勲章。(1873〜1961)

素王(そおう)

王ではないが王者の徳を備えた人。儒家では孔子、道家では老子を指す。

桑原隲蔵(くわばら・じつぞう)

東洋史学者。京大教授。東西交渉史・西域の研究に功績がある。著『蒲寿庚の事蹟』『東洋史説苑』『桑原隲蔵全集』など。(1870〜1931)

濱田耕作(はまだ・こうさく)

考古学者。京大教授・総長。日本における近代科学としての考古学の確立に貢献。著『通論考古学』『東亜考古学研究』など。(1881〜1938)

浅人妄改(せんじんもうかい)

学問の浅い者が自己の理解不足を棚に上げ曲解に合わせて誤字であるとしてテキストを改ざんすること。

James Legge

英国の中国学者。著Chinese Classicsなど。(1815〜1897)

十哲・七十二弟子(じゅってつ・しちじゅうにでし)

孔子の弟子のうち特に優れた十人と七十二人の直接の弟子のこと。

シリーズ一覧

論語の新しい読み方(1)
・論語の新しい読み方(2)
論語の新しい読み方(3)

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